糖尿病の食事療法の記事と同様、おうちごはんの記事の投稿では、腎臓病食の細かい話はしないため、詳しく知りたい方のためにこちらの記事を作成してみました。
腎臓病とは
腎臓病とは、腎臓の働きが弱くなる病気の総称です。腎臓は「血液をろ過して老廃物を尿として出す」や「体内の水分や塩分のバランスを保つ」など重要な働きをしています。腎臓病になる原因には、糖尿病、高血圧、肥満、加齢、遺伝、薬の副作用などがあります。症状には、尿をうまく作れなくなる、浮腫、老廃物が体に溜まるなどがあります。進行すると腎不全になり、透析や移植が必要になることがあります。
腎臓病のステージ
腎臓病には病気の進行程度(重症度)を表すステージが設定されています。血液検査・尿検査の結果で得られるeGFR(糸球体濾過量)、尿たんぱく量、クレアチニン量の値に基づいてステージ1(G1)から5(G5)の5段階に分けられます。ステージ1が最も軽度で、ステージ5がもっとも重度で末期腎不全の状態です。自身が現在どの段階にいるのか確認しておくことは大切です。
ちなみに、ステージ2(G2)の段階はまだ腎機能が回復できる段階です。ステージ3以降になると回復することはありません。

どうして食事管理が必要?
腎臓の機能低下を防ぎ、進行を遅らせるために食事管理が必要となります。腎臓には、たんぱく質を分解してできる老廃物を尿から排泄する働きがあります。たんぱく質や塩分を摂り過ぎると過剰な排泄を行うため、腎臓に大きな負担をかけてしまいます。腎臓の機能は一度失われると回復しないことがほとんどです。
食事療法のポイントは3つ
食事療法のポイントは大きく分けて3つあります。たんぱく質制限、塩分制限、十分なエネルギーの確保です。
たんぱく質の制限
たんぱく質とは、肉や魚、乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルトなど)、大豆製品(納豆・豆腐など)に多く含まれています。たんぱく質は筋肉や臓器など人体の構成にのみならず、様々な働きをしており、とても大切な栄養素です。腎臓病ではたんぱく質の制限が必要ですが、極端に摂取をゼロにすることは良くないとされています。自身の腎臓病の進行具合い(ステージ)を医師や管理栄養士に確認した上で、制限する量を決める必要があります。

〈ステージごとの制限〉
たんぱく質の制限する程度はステージごとに異なります。下の表は日本腎臓学会のガイドライン2023で推奨されているものです。

表の見ながら、実際に自分の必要なエネルギー量(カロリー量)と必要なたんぱく質量を計算してみましょう!
◎必要エネルギー量は、当たり前ですが個人個人で異なります。適正な体重(太らず痩せすぎず)を保ちながら日常の生活に必要なエネルギー量の食事を摂取しましょう。医師や管理栄養士が用いる計算式には主にハリスベネディクト式と簡易式という計算式があります。ハリスベネディクト式は少し難しめであるため、ここでは簡易式を紹介します。下の囲っているところが計算式です。身体活動量は自身に当てはまる活動量の数字を選択して計算します。
1日の適正な必要エネルギー量(kcal) = 標準体重 × 身体活動量
腎臓病の方の場合は身体活動量のところを『体重1kgあたりに必要な1日のカロリー』をあてはめると考えてください。ちょっと伝え方が難しいですが…。
→身体活動量 ≒ 体重1kgあたりに必要な1日のカロリー と考えてもらえたらと思います!
◎標準体重=身長(m)×身長(m)×22
◎体重1kgあたりに必要な1日のカロリー=25〜35(表にあるエネルギー(kcal/kg BM/日)とは、ココのことです!)
実際に必要エネルギー量を計算してみましょう。
例)性別;男性、年齢:45歳、身長:165cm、体重:75kg、外回りの多い営業マン、腎臓病ステージ3(3a)
①まず、上の式を参考にしながら標準体重を計算します。身長165cmをmにすると1.65mになるため、標準体重=1.65(m)×1.65(m)×22= 59.895kg となります。
②①で算出した標準体重の値に25〜35を掛けます。
必要エネルギー量=59.895×(25〜35)= 1497.375 〜 2096.325 kcal
→四捨五入して1500〜2100kcalほど必要ということがわかります。
④例の人、体重でもわかるようにやや太り気味ではありますが、外回りの営業マンということで、1800〜1900kcal程度を適正エネルギー量に設定します。
次に必要なたんぱく質量を計算します。
◎必要なたんぱく質量はステージごとに表に記載されているたんぱく質の箇所の数字を標準体重に掛けるだけです!エネルギーの算出より簡単だと思います。では、必要なたんぱく質量も計算していきます。
標準体重は上記で計算しました、59.895kgです。
ステージ3(G3a)の人の、体重1kgあたりに必要なたんぱく質量は0.8~1.0と記載されています。よって計算式は下の通りになります。
必要なたんぱく質量=59.895kg×(0.8〜1.0)= 47.916 〜 59.895 g
→切り捨てて、47〜59gほど必要ということがわかります!
まとめると、例に挙げた男性の1日あたりの必要エネルギーは1800〜1900kcal、必要たんぱく質量は47〜59gということです!
塩分制限
塩分はかまぼこなどの練製品、干物などの塩蔵食品、漬物などに特に多く含まれています。日本食では醤油や味噌、塩などの調味料を多く使用するため、日々の塩分摂取は自然と多くなりがちです。どんな食品や調味料に塩分が多く含まれているのかを知り、食べ物を適切に選択していく必要があると思います。
〈塩分を多く含む食品〉…かまぼこ、ウインナーなどの加工食品、漬物やキムチ、チーズ、干物など
〈塩分を多く含む料理〉…うどん、ラーメン、ちゃんぽん、汁もの、鍋物、煮物料理など
〈塩分を減らす工夫〉
・うどんやラーメン、味噌汁などのスープや汁は飲まない。またはお椀を小さくして盛り付ける。
・刺身につける醤油は切り身の1/3程度にする。
・煮物は煮込みすぎない。食材に染み込んで塩分摂取が多くなりがちなため。
・減塩調味料を利用する。(減塩醤油、減塩味噌、)
・だしを効かせたり、薬味や香辛料を活用しましょう。
・食事の味付けにメリハリをつけましょう。全て薄味にすると塩分制限の継続が難しくなります。美味しく楽しく食事を続けていくことも大切です。
・しそ、しょうが、ねぎ、みょうがなどの薬味、七味、辛子、わさび、カレー粉(※カレールウではありません。)などの香辛料にはほとんど塩分は含まれていません。これらを上手に活用し、美味しく食事をしましょう。
◎ちなみに…腎臓病の方の塩分摂取の目標は1日6g未満ですが、日本人の成人1日の塩分摂取量の平均値は男性で10.7g、女性で9.1gです。(令和5年 国民健康・栄養調査の結果より)
エネルギーの確保(低たんぱく質高エネルギー食)
たんぱく質の制限をすると、他の栄養素(糖質と脂質)で十分にエネルギーを確保する必要があります。
たんぱく質は上記でも説明したように、体を作る(皮膚や筋肉など)栄養素です。糖質と脂質は主に体を動かす栄養素ですが、たんぱく質を制限した上に糖質と脂質まで不足すると、たんぱく質も体を動かす栄養素として消費されてしまいます。結果、筋肉を維持する栄養素は残っておらず、低栄養状態(痩せ)になってしまいます。そうならないためにも、腎臓病の方はたんぱく質を制限することだけに集中するのではなく、糖質と脂質からエネルギーもしっかりとることを覚えていて欲しいです。
腎臓病食=低たんぱく質食と思われている方が多いですが、正しくは、『腎臓病食=低たんぱく質高エネルギー食』です!
1日の必要エネルギー量については上記の方に計算式を記載しています。ぜひ、計算してみてくださいね。
低たんぱく質の食品
低たんぱく質高エネルギーな食事にすると言っても、家庭で用意する食事では中々むずかいしと感じる人は少なくないと思います。そんな時は無理をせず、利用できるものを使用してもいいと思います。下に良く病院で取り扱われている商品を紹介します。ドラックストアや薬局で購入できますし、ネットでも購入可能です。

◎低たんぱく質米
→白米とカロリーはそれほど変わらず、たんぱく質をグッと抑えてくれます。主食からのたんぱく質摂取を減らすことで、副食(おかず)のたんぱく質を多く食べることができます。
主観ですが、味や香りは普通の白米とほとんど変わりません。美味しく食べることができると思います。

◎低たんぱく質パン
→普通の食パンとカロリーはそれほど変わらず、たんぱく質も塩分もグッと抑えてくれます。主食からのたんぱく質摂取を減らすことで、副食(おかず)のたんぱく質を多く食べることができます。
これも主観ですが、、私はあまり美味しいとは言えません…。

◎低たんぱく質パスタ

◎ソフトアガロリー
→エネルギー150kcal、たんぱく質0gの栄養補助食品のゼリーです。その日の献立が少しエネルギー不足かな?と感じた時に付加するとエネルギーUPになります。味は食べやすいゼリーです。

◎粉飴ムース
→エネルギー160kcal、たんぱく質0gの栄養補助食品のムースです。使い方はソフトアガロリーと同じです。味は食べやすく美味しいです。

◎粉飴
→エネルギー補助用食品の砂糖です。普通の砂糖と同じエネルギー量ですが、甘くありません。そのため、料理や飲み物にたくさん入れて食品をエネルギーUPさせることができます。たくさん入れてもほとんど味は変わらないです。そして溶けやすいです!

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